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この記事は2000年代の半ばニューヨークのマンハッタン近郊に駐在していたとき、2005年のサンクスギビングに現地からアイスランドへ旅行したときに書いたものです。20年前のものなので情報は全く変わっていると思います。
火と氷の国アイスランド。ヨーロッパの中でもイギリスの遥か北方に孤立して佇むこの国にどのようなイメージをお持ちでしょうか?日本在住時には北半球ではまさに最果ての地と感じでいました。ところがNYに来てみると直行便でわずか4時間の距離。世界有数の火山大国で温泉が有名。この機会を逃す手はないと昨年のサンクス・ギビングの休みを利用して、5日間の旅を決行しました。
もちろん観光シーズンは夏で、何もこんな時期にというご意見はもっともであるものの、北極圏に接するこの氷の国は意外や穏やかな気候の国。大西洋を北上するメキシコ湾流のおかげで都市部は真冬でも零下になるかならないかで、NYの厳しい冬より過ごしやすいようです。
実際に足を踏み入れたアイスランドの一番の魅力は空の色ではないかと思いました。太陽は地平線に沿ってゆっくりと昇ってきます。このため朝焼けの時間が極端に長い。この時期朝10時に出ても市内観光をしながら美しい朝焼けを楽しむことができます。エネルギーを地熱に頼るアイスランドでは大気汚染は皆無。繊細な北極圏の陽光が雲をキャンバスにして描く光の芸術は、首都レイキャビクの美しい町並みの景色と相俟って心に残る時間を演出します。
エクスカーション
アイスランドに来たら、厳しい北国で火山に囲まれた荒々しい手付かずの自然を楽しまない手はありません。アイスランドの観光を一手に仕切っているレイキャビク・エクスカーション社がレイキャビクを中心にいくつかの日帰りバスツアーを催行しており、気軽な観光にもってこいです。いずれも朝レイキャビクを出る頃はまだ薄暗く、走り進む中で黎明の中の荒涼とした風景を味わうことができます。日中も陽は高く上がらず視界から離れることがありません。その分空の青さは透明に澄み切って印象的な色合いをみせます。
一番人気はゴールデン・サークル・ツアー。一番の見所は大地の割れ目に水が落ち込んで行く特異な形をした滝グトルフォス。白く凍りついた岩の割れ目に大量の水が轟音を立てて落ち込んでゆく様は荘厳で圧倒されます。その他、間欠泉ゲイシール、ユーラシア大陸とアメリカ大陸が地球から迫り出して左右に分かれていく割れ目ギャウなど、アイスランドきっての壮大な自然の見所がコンパクトにまとめられています。


南海岸探訪ツアーも心に残るものでした。一押しは海岸近くまで張り出し、直に触れることができるソルヘイマヨークトル氷河の先端部です。遠くから見ると山肌を覆う泥に薄汚れた氷の塊ですが、近寄ってみるとところどころ溶けて洞穴状になり、中を覗くと空の色を投影し青みがかった色合いが刻々と変化して神秘的な表情を見せます。その他、海岸線沿いに点在する滝には虹がかかり、玄武岩の崖は厳しい波に削られてパイプオルガンのような姿を見せます。帰路バスの車窓を彩る夕焼けにも心を奪われます。静かな冬景色はtranquilという形容詞がぴったりです。
冬はオーロラ観察のツアーもありますが、催行の確率は良くないようです。夏は鯨や野鳥を見るツアーも催されています。今回の旅はNYのHISで手配しましたが、これら日帰りツアーも同時に申し込むことができます。空きがあれば現地でも参加できますが、NYで申し込んで行った方が安心でしょう。HISでは簡単なパンフレットをくれる他、相談にも乗ってくれるので日本語のガイドが無いアイスランド旅行には便利です。詳しいガイドはLonely Planetのアイスランド編がお勧め。市内観光のルートはこれを採用しました。


ブルー・ラグーン
日没後の透明で深い青を湛える空の下、荒涼とした溶岩台地に囲まれて茫漠と広がる濁り湯。目の前の吹き出し口からは大量の湯とともに雲のような湯気が吹き上がる。そんな湯に、いつまでも続く夕刻の空を眺めながら時間を忘れてゆったりと浸かる。こんな至福を味わえる温泉がこのブルー・ラグーンです。実際には地熱発電所で利用した熱湯の再利用で、水着着用の温水プール(水温38℃前後)ですが、プール部分だけでも5000㎡あり、余り奥まで行くと行方不明になりそうなほどです。シャワーを浴び建物から出るとミネラルを含み白濁するプールが広がっています。色合いは文字通りさんご礁のようでもあります。左奥に行くと腰掛けて休める一角があり、ここで名物の白い泥(Silica Mud)パックを利用できます。余りに広いため場所により湯の温度の差が大きいですが、しばらく浸かるうちに自分に合った場所がみつけられるでしょう。併設の施設も充実していて評価の高いレストランや是非おみやげにしたいSPA用品の店などがあります。
レイキャビクからはバスで40分と離れていますが、日に数往復のバスがありホテルの旅行カウンターやバスターミナルで往復バスと入館料込みのチケット(約50$)を手に入れられます。自分のペースで行けるのでツアーよりお勧めです。(帰国時、空港へ行く途中で寄るツアーはバスに荷物を預かってくれるので便利)自分は4時レイキャビク発、8時ブルー・ラグーン発で行きました。腰掛けのある場所で2時間以上空の移り変わりを眺めていると、まるで宇宙を眺めているような感覚。陶然とした時間でした。レイキャビク市内にも地元民向けの気持ちの良い温水プールは点在しているようです。(http://www.bluelagoon.com/)

市内観光
人口30万弱のアイスランド。レイキャビクも首都と言いながら我々の感覚では田舎の小都市クラスの大きさです。ガイドブックにしたがって主要な名所を見て回っても2時間くらい。この町の魅力は、マンハッタンのような大都市と対照的な「小ささ」だと思います。繁華街周辺も一歩路地裏に入ると戸建ての民家が立ち並ぶ。鮮やかな色に彩られた街並みは中世のおもちゃの世界に迷い込んだかのようです。

町の中央には湖に張り出した市庁舎、これが?と思うような小さな国会議事堂、海岸の広場にあるステンレスの彫像。などいろいろ見所はありますが、一番は、高い建物が皆無のレイキャビクにあって小高い丘の上でひときわ目立つハトルグリムス教会です。その姿は低い陽の光を背景に 街を支配するような威容を誇ります。エレベータで70Mある鐘楼に上がるとレイキャビクの360度の景観が楽しめます。(エレベータは有料で奥の売店で支払う)ここからの眺めはレイキャビクの小ささと美しさを堪能させてくれます。パイプオルガンがこの教会の自慢で、今回はたまたまクリスマスシーズンに向けたリハーサルを行っており、壮麗な響きを味わう幸運にめぐり合わせました。
アイスランドは実際辺境の地ですが、1000年も前に世界初とも言われる民主議会(アルシンギ)を開き、12世紀頃には有名なエッダ、サガといった日本で言えば古事記にあたるような欧州を代表する神話を成立させたことでも有名です。またヨーロッパで神秘な文化の象徴、ルーン文字が残されています。国立博物館これら歴史ある文化を広範に楽しめ、歴史に興味のある人にはお勧めです。


ショッピングとレストラン
ショッピングはレイキャビク一の繁華街ロイガーヴェーグル通りを散策しながら楽しみましょう。お勧めのお土産はアイスランドならではの高品質を誇るウール製品です。伝統的なものからモダンなものまでバラエティーに富んだ柄のセーターやショール。陶器などもお勧めのようです。自分は街のCD店で地元ポピュラー、トップテンから入手したアイスランディック・ラップ?がお気に入りです。
アイスランドの唯一?の難点は物価高。レストランもNY並みの値段で驚かされます。とはいえ折角世界の果てまで来たのですから、ここは意を決し良いものを楽しみたいと思います。お勧めは国民が日本並みにうるさいという魚介類、人口の50倍もいる羊などです。お勧めのレストラン2軒。
Laekjarbrekka
ワイルド・マッシュルームのスープと特徴的なスタイルの骨付きラムのグリルを楽しみました。両方ともこってりとした中にしっかりとしたうまみがあり、ワインとの相性も抜群でした。

Tveir Fiskar
レイキャビクきっての高級レストランのひとつ。ムール貝のワイン蒸しに、店員に勧められるままアイスランドが世界に誇るミニ・ロブスターを頼みました。ムール貝は日本人には感涙もの。ミニ・ロブスターはあまりにも高価ですが、鮮度抜群で、こってりとしたうまみはなかなかのものでした。(一皿80ドル!) メニューには鯨もあり、再訪の機会があれば試してみたいと思いました。

その他、日帰りツアーで立ち寄る田舎のドライブインのようなレストランで食べたマリネしたラムのグリルなども高いながら味わいのある一品です。
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