【追憶】全米きってのリゾート地サンタフェ旅行記2007

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以下の記事はアメリカ駐在時代にテトの一番のお気に入りだったサンタフェ(ニューメキシコ州)の記事です。2006~7年に3回訪問しました。
今見ても夢のような場所だったと思います。
約20年前の情報なので精度は保証できません。(2026年3月記)

皆さんはサンタ・フェと聞いて何を思い出すでしょうか? 日本人には宮沢りえの写真集だけで有名ですが、これはある意味不幸なことだと思います。サンタ・フェはアメリカン、スパニッシュ、インディアン3種類の文化の上質な部分が邂逅する場所である上、一歩郊外へ出れば壮大なアメリカの自然の景観も簡単に楽しむこともできる、全米でも最も豊かで懐の深い豪奢なリゾート地だと思います。ロッキー山脈の南部に位置し高原地帯であるサンタ・フェは夏の避暑地としても最高です。NYからゲートシティのアルバカーキーまで直行便はなく、アルバカーキーからも車で約一時間と時間はかかりますが、一回サンタ・フェを体験した人は皆その多様性がくせになるのではと思います。

サンタ・フェ旧市街

旧市街の一番の魅力はなんといってもネイティブ・インディアンの文化をインスパイアしたアドービ(日干し煉瓦)風の外観に統一された歴史を感じさせるエキゾチックな街並みです。町の見所はプラザと呼ばれる広場を中心に古い教会やホテル、ギャラリー、みやげ物屋、レストランなどがごく狭い範囲に立ち並んでいます。歩道は歩く人でいっぱい。とはいえリゾート地の気安さか、のんびりとした雰囲気の中でゆったりとした時間が流れ、メキシコの街をソフィスティケートしたような不思議な空間となっています。

乾いた空気の中、薄い緑を纏った木々やレンガ色の建物と、乾いた青空のコントラストは一回見たら忘れられないと思います。お勧めのポイントの一番は聖フランシス聖堂です。プラザから眺めると、周囲のアドービ様式の街の中で壮大なロマネスク様式の正面が異彩を放っています。中に入ると教会独特の静けさが心地よく感じます。すぐ近くのロレットチャペルも小さいながらも印象的な教会です。ここには「奇跡の階段」と呼ばれる美しい螺旋階段があります。2周して聖歌台に登る階段に支柱はなく、鉄の釘も使われていません。現地では階段にまつわる伝説に関する日本語のパンフレットも入手できます。その他、お土産屋やギャラリーが軒を連ねているので、気になる店を片端からチェックしていきましょう。ホットチリソースやサルサに代表されるメキシカン食材、ネイティブ・インディアンのクラフトなどがお勧めです。アートの街の面目躍如たるところで街の裏路地や広場などにもテントの仮店舗がいくつも出て絵画などを売っています。

 

アートの街サンタ・フェを象徴するのは町の南東に伸びるキャニオン・ロードです。アートに興味のある人はキャニオン・ロード散策に一日を充てるべきです。1マイルぐらい続く道の両側は様々な趣向を凝らした何十件ものギャラリーで埋め尽くされています。モダン・アートの店、キルトの店、陶器の店など、思い思いに趣向を凝らし、小さなミュージアムが沢山並んでいるかのようです。NYと違い新進のアーティストの登竜門という意味合いが強いので、比較的安価で上質のアートを先物買いできる可能性を秘めたマーケットと言えます。ミュージアムとして見る楽しみ方もありますが、もし自分の部屋に一枚アートを置きたいと思われているのであれば、この際徹底的に散策するというのもありかなと思います。このギャラリー街はきっとお気に入りの一枚を見つけ出させてくれるであろうと信じさせる多様性を有しています。

ジョージア・オキーフ美術館

NYに次ぐアートのメッカとも言われているサンタ・フェの象徴とも言えるのがジョージア・オキーフです。アメリカを代表する女流画家であるオキーフは、NYでもホイットニー美術館のテーマとも言える存在です。NYでモダン・アートのスターとなりながら生涯自分に忠実に生きることがテーマであった彼女は、60になろうかという頃、サンタ・フェ郊外のアビキューの荒涼とした風景の中に理想的な美を見出し移住。以後40年をこの地の荒々しい自然の中で創作活動に没頭しました。彼女の時代にこの山奥で98歳まで創作活動をしたと考えると、いかに彼女がアビキューを愛していたのかがわかるようです。有名な花のクローズアップの他、アビキューから程近いゴースト・ランチから見える特徴的な形状の山の絵を沢山描いていますが、近郊ドライブの予習として見ておくと更に心に残る旅になると思います。彼女の絵は実物描写でも心象風景のようですが、実際の風景も彼女の絵とは違う表情を見せながらもどこか同じ空気を漂わせているところが印象に残ります。

展示スペースは狭いものの、NYでも沢山は見れない彼女の代表作の数々がさりげなく飾られ、自分のリビングであるかのようにゆったり鑑賞できます。展示スペースを楽しんだ後はshopにも立ち寄りましょう。おみやげに良いものがいろいろありますが、ここにおいてある”From Santa Fe to O’Keeffe Country”というペーパーバックの冊子は、わかりにくいアビキューのオキーフのアトリエの場所をわかりやすく説明してある他、近郊の見所をわかりやすくまとめてあり便利です。

サンタ・フェ・オペラ

夏のサンタ・フェのリゾートの白眉と言えるのが、6月~8月に開催されるサンタ・フェ・オペラです。夏の野外オペラの祭典と言えば北イタリアのヴェローナの古代ローマ劇場のオペラがあまりにも有名ですが、それに比較してもこぶりながら上質で特別の時を味あわせてくれます。

なにより環境が独特です。サンタ・フェからは街を北に抜け出ると、何もない崖の上に忽然と特徴的な形をしたオペラハウスが姿を現します。オペラハウスと言いながら半野外で、反響板となる屋根が頭上に広がっているものの壁はなし。公演直前の日暮れ時には連なる山々が周囲に見えており、陽も落ちて開演する頃には静かな星空にハイウェイのランプが連なって見えるばかりです。舞台後方も壁はなくそのまま背後の自然が見えています。そんな中に公演が始まる直前ともなると盛装した人々が車で乗りつけ、場内は華やいだ雰囲気で満たされます。

公演のレベルも高く、昨年は特に50周年記念の年に当たり、サンタ・フェ・オペラの音楽監督、アメリカ指揮界の俊英アラン・ギルバートが当代随一のメゾ・ソプラノであるアンネ・ゾフィー・フォン・オッターを迎えての「カルメン」の公演を鑑賞する幸運に恵まれました。半野外ながら音響はすばらしくドラマチックな公演を十分に楽しめました。舞台の前を鳥や虫が飛び交い、脇のハイウェイでは車が行き交い、更には遠雷が時に雲を明るく彩る中で、夏のさなかに肌寒い自然の風を受けながら良質の芸術を堪能するという体験は心に強く残るものでした。

高地なので夜が更けると寒くなるので注意が必要です。盛装の人たちも慣れたもので毛布などを準備しています。また終演は遅いので、サンタ・フェに戻る頃にはレストランは全て閉まっています。自分も終演後食事の場所を探してホテルそばのバーに入ったものの乾きもののつまみすらない、という状況でした。

近郊ドライブのモデルルート

 サンタ・フェに来たら大自然とネイティブ・カルチャーを楽しむためにも近郊のドライブは絶対にはずせません。その中でもオキーフゆかりのアビキューと世界遺産のあるタオスを巡るルートは特にお勧めです。サンタ・フェからルート84を北上、ルート64に出たら右折して東へ、そしてルート68で南に戻るというルートです。

ルート84上の見所はゴースト・ランチ周辺の大自然です。周囲には気の遠くなるような時間を経て削りだされた赤茶けた巨大な奇岩が連なり圧倒されます。まるで月面にでもいるかのような錯覚を感じます。抜けるような青空とのコントラストは感動的で、この赤茶けた色を見ているとなぜアドービがあの色でなければいけないのかが理解できるようです。近くには人工湖が広がっており、この湖の畔に車を止めると遠くにオキーフがモチーフとした「火打石」という名の山が望めます。グランド・キャニオンと違い訪れる人もわずかなので、静寂の中で心ゆくまでオキーフの心象風景に心を馳せることができます。

 

途中アビキューの高台にはオキーフのアトリエが残っていますが、見学するためにはツアーに参加しなければなりません。このツアーの少人数で人気が高いため、参加を希望するのであれば事前の予約が必要です。敷地内には猛犬を放し飼いにしているようなのでツアー以外での進入は避けた方が無難なようです。ルート84沿いにあるアビキュー・インがツアーの拠点ですが、レストランもあるので朝早くサンタ・フェを出てここで朝食というのもしゃれているかもしれません。

ルート64上の最大の見所は何と言ってもリオ・グランデ渓谷です。ここでは牧場などが広がる平原に忽然と大渓谷が現れます。ルート64はその渓谷の上に橋を渡して通っています。事前に気づくことは不可能と思いますが、橋を渡りきったところに駐車場があるので大丈夫。車を降りてゆっくりと橋の上から渓谷を眺めましょう。この橋の高さは特筆すべきものです。橋から川面まで180m。建設当時は全米でもトップクラスだったそうで、橋の上から渓谷を見下ろすと目が眩んで足が竦みます。リオ・グランデ川は聖なる川として有名ですが、この荘厳な風景は「聖なる川」を実感させてくれます。

ルート64と68が交差地点のそばにタオス・プエブロがあります。タオス・プエブロはプエブロ・インディアンの一派の集落ですが、ここを世界的に有名にしているのがフラウマとフラウキマという集合住宅です。正真正銘のアドービで千年にも亘って何層にも組み上げられた集合住宅で、1992年に世界遺産に登録されました。世界遺産としては異例なのは現在もわずかながらも人が住んでいるという事実です。いくつかの部屋はお土産屋として営業しており、質素なつくりの内部を見学することができます。ここでドリーム・キャッチャーを買うとその場で祈りを加えてくれるのでつい効きそうな感じがしてしまいます。村自体、古いインディアンの生活様式を完全に保存しているので、アドービ様式の本当の姿、自然と生活様式が調和している様を堪能することができます。ここでは写真を撮るには有料のタグが必要なので、入場料を払うときにタグを一緒に購入することが必要です。

ルート64と68の交差地点はタオスという普通の小さな街です。ここも革製品などかわいいみやげ物屋が並んでいるので立ち寄る価値のある街です。訪問した際には街の中央にあるApple Treeというレストランで昼食を取りました。カジュアル・メキシカンでいい味を出していました。

このルートの他、黒い陶器で世界的に有名なマリア・マルティネスゆかりのサン・イルデフォンソ・プエブロや、先住民が残した岩絵を鑑賞できるペトログリフ・ナショナル・モニュメントを巡るルートなど見所はいろいろあり、再訪の都度新しい見所を回れます。時間が余ればルートの途中に点在する小さな田舎のカジノに立ち寄るなど楽しみ方はいくらでもありそうです。

お勧めのホテル

エルドラド・ホテル

「黄金郷」の名を冠したサンタ・フェを代表する高級ホテル。レストランやプールなど施設は整っており、最上階の部屋のバルコニーから見渡す風景は最高。

ラ・フォンダ・ホテル

サンタ・フェの旧市街の中央にある自身が観光名所のような老舗ホテル。サンタ・フェの雰囲気にとことん浸りたい人にはお勧め。

ギャレッツ・デザート・イン

旧市街至近ながらリーズナブルな値段のモーテル。

テン・サウザンド・ウェイブズ(萬波)

サンタ・フェ郊外にある純和風温泉旅館です。公共の風呂は狭いものですが、いくつか貸切の風呂を持ち、日帰りで利用可能です。自分が利用したものは少々ぬるい湯で残念でしたが、時間があれば一見の価値はあるかもしれません。

お勧めのレストラン

Café Pasqual’s

ニュー・メキシコのメキシカンを味わうならここ。安くておいしいのでいつでも混んでいる。いつも1時間待ちくらいだが、順番待ちの登録をしたら時間まで土産物屋を散策していれば問題なし。牛グリル(カルネ・アサーダ)の他、エンチラーダやブリトーなど素朴ながら味わい深いメキシカンを堪能できる。

Coyote Café

有名シェフの創作メキシカン。レストランの雰囲気同様ソフィスティケートされた味は格別。屋上はテラスがレストランとなっており、こちらも乾いたサンタ・フェの雰囲気と上質な料理を共に味わえる空間となっている。要予約。

Geronimo

サンタ・フェきっての高級レストラン。サウス・ウェスト料理を基調にしながら洗練されたコースを提供。特別な夜に堪能するディナーは心に残ること請け合いです。要予約

【補遺】

夏のサンタフェ近郊で湧き上がる入道雲

広い空の下に映えて牧場ゲートもおしゃれ

近郊には草原や岩山を巡るトレイルも点在

駐在していたダラスからテキサス州を西へ横断1000KM以上
ハイウェイは地平線が見えるようです。
万里の長城のように続く貨車の列をテトのブログテーマとしています。

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