春のロングアイランド(ニューヨーク)小旅行

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※この記事は2000年代半ばにアメリカ駐在をしていた時期に書いた記事です。20年前の記事なので情報は変わっている部分があることご理解ください。

ゴールデンウィークに家内が来たので、平日に2日休みをもらい、かねて行きたいと思っていたLI(ロングアイランド)の東端に気ままな一泊旅行に出ることにしました。目指すは海鮮料理とワイナリー。我々はこれらに目がないんです。その上で春の大西洋が眺められれば最高とばかり出かけたわけです。

LIはマンハッタンの東隣の島で、ブルックリンやクイーンズといったNYのベッドタウン、JFKやラガーディアといった空港もこの島にあります。LIはここから東へ長く伸び、東の果てモントークまでは200km程度の道のりです。LIには495号線(通称LIE)を中心に北側にノーザンパークウェイ、南にサザンパークウェイと3本のハイウェイが東西に走っています。島の東部分は南北に大きく割れていますが、ノーザン、サザンの二つのハイウェイは島の中ほどで終わり、ここから先北は25号、南は27号という道が、南北それぞれの半島の先端まで延びています。米国のハイウェイは2マイル程度ごとに出入口がありますが、日本のように街の名とかがついているわけではなく、単純に番号がふられているだけです。NYは最高速度も55マイル(約100km)に制限さえており、それほど飛ばすことはできません。しかし今は新緑がきれいな季節。特にパークウェイは文字通り公園のように整備されておりゆったり走るのには最適でした。

家を出たのが昼近かったので、まずは手始めに島の中央LIEの53番の先からWilliam Floyd Hwyを南へ下り、ファイアアイランドの中のSmith Point County Parkという橋で渡れるビーチへ入ってみました。春先とは言えこんなに晴れた気持ちの良い日、まわりで昼食ぐらいは食べられるだろうと思い島へ渡ったのですが見事に期待はずれ、人気は無く海の家風のカフェテリアも休み。ただただ美しい浜辺が細長く広がっていました。

仕方なく今度は27号に乗り一路東へ。昼は途中で適当に寄り道をし、道端にあったいかにもダイナーらしいダイナーでチーズバーガーを食べました。ステンレスをイメージした外装。内装は質素で古いファミリーレストラン風ですが、全体がしっくりと調和して居心地のよいつくりです。このハンバーガーが意外においしかった。米国ではこのような店でバーガーを頼むと、肉が焼けすぎていたり何故かパンが冷たかったりと、残念な思いをすることが多いのですが、ここは完璧。店の名前を控えなかったのが悔やまれるほどでした。まあたかだかチーズバーガーですし、旅の途中の当たり外れはそれぞれに味のあるものと思います。

モントークへの道のりは、島の東の2つに割れたあたりから細い1本道となり、いかにも田舎という感じがしてきます。有名なLIの東端にある灯台に着いたのは、もう6時をまわったところでした。門は閉まっていて上ることはできませんでした。なんてことはない灯台ですが、周囲の景色を引き立てる建物です。

さて今晩の宿を決めなくてはなりません。小さなモントークの街から西南に伸びる海沿いの道 (Old Montauk Hwy) にはいくつものモーテルやホテルがあります。ここにこの辺では有名なGurney’InnというSpaのある高級リゾートホテルがあ

ります。敷地へ入ってみるとここだけは嘘のように車でいっぱい。こんなオフシーズンの平日でも泊まり客は大勢いるようです。この車の多さになんとなく気後れして隣の敷地にあるThe Panoramic ViewというHotelの門をたたいてみました。クレジットカードは使えず、現金か小切手のみということでしたがオフシーズンで1室107ドルとのこと。レストランは無く飲み物もわずかな自販機があるだけですが、ここはアメリカ。夕食がてら買い物でもしてくればすむ話です。部屋に入ってみると簡素ですが十分な広さの雰囲気のある部屋でした。部屋の前面には広いバルコニーがあります。ホテルの敷地には海岸から比較的急な斜面に沿って長屋式のコテージがいくつも建っているのですが、この部屋はその一番上。バルコニーに出ると眼前の砂浜の向こうに果てしなく広がるのは大西洋。まさに絶景でした。日本人にとってはやはり大西洋というのは特別の響きがあるようです。自分にとってもこのように目の前一杯に広がる大西洋を眺めるのは10年以上も前、大西洋の反対側ポルトガルのリスボンの近郊、ロカ岬から眺めたとき以来ですから感慨もひとしおです。

さて近くのスーパーのデリで朝食用のサラダや惣菜を購入、パンやビールなどの飲み物を調達した後いざ夕食へ。この半島の北側Lake Montauk の先端、海に面した場所にあるGosman’s Dockといういかにも観光客相手というようなシーフードレストランに入りました。本当は近所にあるDave’s GrillというZAGATのLI編でも名高いシーフード店を狙っており、なんとか店を発見するところまでは行ったのですが、事前に得ていた不定期営業をいう情報どおりこの日はclosedだったのです。ただGosman’s Dockも魚屋を併設しており期待できると思いました。この周辺には安めのMOTELが何軒もあり、酒やシーフードを心行くまで楽しむには、これらに泊まるのも手かもしれません。

広い店内でしたが平日ということもあるでしょう。客も何組かしかいないので店の中央の一角のみ開店しているという感じでした。まずはせっかくなのでLI産の白ワインを一本頼み、料理は待望の生牡蠣とクラムチャウダー、イカのフライを頼みました。メニューを見ていくとJumbo Montauk Lobster 54$というのがあったので、えいっとばかりに頼んでしまいました。注文を聞いたウェイターはもったいぶった口調で、今日出せるか厨房に聞いてくるとのこと。程なく戻ったウェイターは満面の笑みをたたえて注文できた旨を我々に伝えました。この瞬間我々のテーブルはこの晩のレストランの中心となったようでした。

シーフードはどれも普通においしいものでした。頼んだ量が少なかったかと思ったのですが、さすが巨大ロブスター。ひとつを2人でシェアでも十分な量でした。なんでも4ポンドあるとのこと。爪の肉など赤ちゃんの手のひらほどもありました。大きい割には思ったほど大味でもなく(とはいえロブスターはロブスターですが)、身離れも良く、結構楽しめました。なにより話題になりますよね。2人でしめて150$。まあまあの値段だと思います。

ホテルに戻るとすっかり夜になっていました。バルコニーへ出ると星が美しいこと。マンハッタンから離れて田舎に来たという実感がわいてきます。明け方目をさますと海に向かって左、つまり東の空が美しい朝焼けになっていました。潮騒の音だけが聞こえる静かな朝。心に残る情景でした。

2日目はLIの東の2つの半島に点在するワイナリーを4軒訪ねました。南側の半島は数軒ですが、北側の半島には30軒ちかいワイナリーが軒を連ねています。ワイナリーの見つけ方は至極簡単で、北側の半島に延びる25号かその北側の48号を走っていれば嫌でもいくつも目にすることになります。目印は葡萄の絵と矢印が書いてある緑の交通標識。この矢印の方に行けばワインヤードとワイナリーの建物が見えます。25号では大抵矢印あたりがワイナリーの入り口になっています。

建物の前に立つと特にどこが入口とも書いてありませんが、目立つ大きな木の扉を開ければ中に入ることができます。多くは入ったすぐのところにホールがあり、ワインが何本も並べられ、カウンターがあったり机があったり。そこで適当に”Can I try?” とか言えば、試飲をさせてくれます。試飲の仕方もワイナリーによってまちまち。1杯いくらとか書いてあるのに只でどんどん勧めてくれるところもあれば、3$とか5$とかで決められた何種類を試飲させてくれることもあります。夫婦で行った場合などは1セットを2人で試飲するというのでも構いません。もちろん車で来ているわけですから、飲みすぎは禁物です。沢山の種類を試飲したいと思う場合には、敵もさるものお願いすれば余ったワインを捨てる容器も用意してくれます。

試飲させる方もグラスの扱いには苦労しているようで、高級なところはワインごとにグラスを替えてくれますが、普通は同じワインで何種類も飲まされます。この場合気の利いたところは都度すすぐための水を用意しています。気になる人は自分でペットボトルの水を持参してもいいかもしれません。またグラスも大きいワイングラスで出すところ、小さなブランデーグラスのような容器で出すところとさまざまです。しかし試飲をしに来ているわけですから、できれば香りのわかりやすい大き目のグラスで試飲できる方がいいと思いました。

ワイナリーはどれも小さいので、おいてある種類はわずかです。赤ならカベルネソービニオン、メルロー、ピノノアール。白ならシャルドネ、ソービニオンブランなどの良く聞く種類の葡萄が大半で、3-4年ものが中心です。ワイナリーによっては他の果物で作った食後酒のような果実酒をおいているところもあり、女性などのお土産にはこれもいいかもしれません。LIは比較的北の地方なので白ワインが中心ではと思っていたのですが、赤も結構多いことを知りました。特にすごく特徴があっておいしい、とまでは思いませんが、オーソドックスな中で良く作りこんであってなかなかおいしいワインが多いと思います。小さいワイナリーは仕事も行き届いているのかもしれません。それ以上に自分でテイスティングして選んで買ったというのもおいしく飲める大きな理由ですね。とかいいながら、自分は行ったワイナリー全てで適当に1、2本買い込んで持って帰りました。

ワインの味を知るにはやはりワインを飲み比べることが必須とも言われます。その意味では、この手近にあるこれらのワイナリーをゆっくりはしごして安い金で飲み比べを重ねることで、ワイン通への第一歩を踏み出すというのも悪くないですね。ワイナリー廻りをしたい人には各ワイナリーに30軒ものワイナリーのリストと簡単な地図の付いたパンフレットをくれます。これに沿ってこれらのワイナリーをいつか制覇したいものと思います。

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